英語の質問にうまく答えられない3つの致命的な原因と対策

コミュニケーション

仕事で英語が必要な研究者やビジネスパーソンにとって、英語の質問にわかりやすく答えるのは必須のスキルです。あなたのお仕事でも、英語の質問に答えなければいけない場面が数多くあると思います。研究発表やビジネスプレゼンテーション後のQ&A、ワークショップやセミナーでの質疑応答。さらに、「Q&A」や「質疑応答」と名がつかなくても、外国人上司や同僚との会話、海外取引先とのやり取りなども、質問に答えることなしには成立しません。つまり、「質問に答える」という行為は英語コミュニケーションの中で大きなウェイトを占めていると言えます。

そのため英語学習者にとって、「質問にうまくこたえられなかった」というのはよくあることなのではないでしょうか。特に英語力を何とかしたいと思っている向上心の高い方だったらなおさら、「うまく受け答えができずに自己嫌悪・・・」ということも多いはずです(そのお気持ちよくわかります!)。

この記事では、英語の質問にうまく答えられない3つの致命的な原因について見ていきます。今のご自分に何が足りないのかを見つめ直し、適切な対策を立てるきっかけとしていただければと思います。

Let’s get started!

英語の質問にうまく答えられない致命的な原因1:基礎英語スキルが足りない

「基礎英語スキル」とは、英語の4技能:リーディング・リスニング・スピーキング・ライティング、に加えて文法と単語力のことです。(通常「発音」も含まれますが、私は大抵省いて考えています。これについては後日記事にしようと思います。)

英語の質問に答えるのにネイティブレベルの英語は必要ありません。でも当然、質問を理解し、答えを組み立てるだけの英語力は必要です。

そのため自分の分野の専門用語をまったく知らなかったり、質問を構成する文法がわからなかったり、英語の音を聞いても言葉として聞こえてこない、という状態では、質問の意味が理解できなくて当然です。

同時に、よく使う単語や言い回しを知らなかったり、文を組み立てるための基本的な文法がわからなかったり、言いたいことが全く言葉として出てこない、という人が突然英語でわかりやすい答えを提供できるはずがありません。

質問にわかりやすく答えるためには、最低限の基礎英語スキルが前提となるのがおわかりいただけると思います。

おススメの対策:自分の分野に関するオーセンティックな素材を英語教材として利用する

すでに英語をつかってお仕事をされているようであれば、ビギナー用の教材に戻ったり、文法書を1ページ目から読み直すような学習は必要ありません。

効果的なのは、「基礎英語スキル」をできるだけintegrateしてauthenticな状況で学ぶこと。

例えば研究者の方ならすでに、ご自分の分野のジャーナルを読んでいらっしゃることでしょう。このシンプルな日課が実は、あなたの基礎英語スキルを磨く絶好のチャンスになります!

まずはいつものように、記事のコンテンツにフォーカスして読みます。

その記事のメインアイディア(もっとも言いたいこと)を理解するために、記事にざっくりと目を通してください(skimmingというリーディングのテクニックです)。

次に、探している特定の情報があれば、それを見つけるために拾い読みをしてください(scanningと呼ばれます)。

そしてこの次のステップを取るか取らないかで、基礎英語スキルに大きな違いが出てきます。

メインアイディアを理解し、必要な情報収集ができたら、もう一度最初に戻って今度は英語学習者の視点で読んでみます。ライティング・単語・表現・文法などに注意して丁寧に読んでください。

そうすると、

  • 「こういう時はこういう言い方をするのか」とスマートなライティングの仕方がわかるようになる
  • 専門用語やその分野でよく使われる単語・表現に繰り返し触れることで使える語彙が増える
  • 理解しにくい文を分析することで、これまでつかったことのなかった文法の理解につながる

など、様々な英語のスキルを磨くことになります。

英語学習者のためではなくその分野の見識を深めたい読者のために書かれたオーセンティックな素材を使うので、実際に使われる単語・表現・文法をコンテクストの中で学ぶことができるのです。

もちろんこれはリスニング素材にもあてはまります。リーダーシップやビジネススキルについてのポッドキャストを聞いている方は、一通り内容を理解し必要な情報を得たら、今度は英語学習者の視点で単語・表現・文法・発音など、丁寧に英語を分析してみてください。

このアプローチをとることで、専門の知識・見解が深まるのと同時に、その分野で使える英語力も身に付いてしまうので、一石二鳥な学習方法と言えます。

英語の質問にうまく答えられない致命的な原因2:「受け答えスキル」が磨かれていない

では、上でお話しした「基礎英語スキル」が身に付けば、自動的に質問にうまく答えられるようになるのでしょうか?

答えはもうおわかりだとう思いますが、残念ながらそうではありません。

もちろん基礎英語スキルが上達することで、質問の理解力も受け答えの表現力もアップするでしょう。

でも、周りの日本人の同僚・ご友人・ご家族のことを考えてみてください。

母国語で話していても、「この人の答えは筋が通っていてわかりやすいな」という人もいれば、「答えになっていない」、「結局何が言いたいの?」という人もいるはずです。

英語のネイティブスピーカーも同様に、英語が話せるからといって論理的な受け答えができる訳ではありません。

一体なぜでしょうか?

それは「質問にわかりやすく受け答えする」ことが、一般的な英語力とは別物だからです。

言い換えれば、特化して訓練することで初めてできるようになるスキルなのです。

このことは日本人の英語学習者にとっては特に重要な事実と言えます。

なぜかというと、日本語スピーカーがやりがちな受け答えは、英語スピーカーが「わかりやすい!」と思うものとはほど遠いからです。

日本人的な受け答えの特徴は:

  • 背景から入り、肝心の答えは最後にくる
  • 答えがimplyされ、明確に述べられないことさえある
  • 答えと直接関係のない情報が含まれることが多い
  • 聞き手とshareしている背景情報や聞き手の行間を読むスキルに頼り、詳細の説明がない

これに対し、英語スピーカーが「わかりやすい!」と感じる受け答えの特徴は:

  • 最初に答えが述べられる
  • それに続けて説明がなされる
  • 説明は答えを直接サポートするものであり、関係しないことは述べられない
  • 聞き手は知らないと前提した上での詳細説明が付け加えられる

つまり、どんなに英語力のある人でも、英語スピーカーにとってわかりやすい受け答えがどういうものかを知らなければ、とっさの場面で英語の質問にわかりやすく答えることは難しいと言えます。さらに、そのような受け答えが自然と口をついて出てくるような訓練を普段からしていることが必要となります。

おススメの対策:質問への「受け答え力」に集中してトレーニングを重ねる

英語スピーカーにとってわかりやすい受け答えができるようになるためには、意識的な思考回路の転換が必要です。意識しないとどうしても、デフォルトである「日本人的な」受け答えになってしまうからです。

普段から、質問されたら答えを最初に返すことを心がけてみてください。文脈から説明したくなる気持ちをぐっとおさえ、まずは質問に直接答える。これだけでも慣れないうちは難しいと感じるはずです。それができるようになったら、直接の答えに続けて答えの理由・例・説明などを付け加えます。

こうするだけでずいぶん英語スピーカーに伝わる答え方に変わるはずです。

英語スピーカーが「わかりやすい!」と納得する受け答えの仕方を深く学び、ずっと使える英語質問への「受け答え力」を身に付けたい方は『英語受け答えスキルUPトレーニング』もぜひチェックしてみてください。

英語の質問にうまく答えられない致命的な原因3:英語脳が鍛えられていない

「英語脳」が鍛えられると、日本語を介さず英語のインプット・アウトプットを行うことができるようになります。

例えば受け答えに関しては、英語で質問をされたら、質問を英語で理解し、英語で考え、英語でアウトプットする、というようにシンプルなステップを踏むだけで完了します。

でもほとんどの日本人の英語学習者は、日本語を介して英語を使っています。

これは日本で生まれ育ち、日本語で全て事が足りてしまう中で生活している、大多数の方の境遇を考えると驚くことではありません。

脳の中で日本語が圧倒的に優位なので、他の言語を使うときにも自然と日本語に頼ってしまうのです。

でも、例えば仕事で英語が必要な人、日常英会話のレベルを超えた英語コミュニケーション力が必要な人は、英語脳の訓練が重要になってきます。

その理由の1つ目は、常に日本語を介しているとコミュニケーションがスムーズに進まないからです。

例えば英語脳が鍛えられておらず、日本語脳で英語の質問への受け答えをすると、以下のようなプロセスをたどることになります:

英語の質問を聞く

  ⇩

日本語に置き換える

  ⇩

日本語で理解する

  ⇩

日本語で受け答えを考える

  ⇩

それを文法・単語を駆使して英語に訳しながらアウトプットする

ひとつの質問に答えるだけなら多少時間をとってもいいかもしれませんが、効率性と生産性が求められる仕事の場において、毎回こんな遠回りをしていては会話が進まないですし、相手をきっとイライラさせてしまうでしょう。

聞かれた質問に即座に反応するためには日本語を介している暇はありません。その時間を、「どんな情報が相手にとって有益かな」と考えたり、相手により伝わる表現を探すことに使えたらもっといいですよね。

英語脳を鍛える理由の2つ目は、いつまでも日本語脳に頼っていると英語の感性が磨かれないからです。

ご存知のように、英語と日本語には常にイコール関係が成り立つ訳ではありません。

聞こえてくる英語を日本語に置き換えようとすると、細かいニュアンスが理解できないことがよくあります。

例えば、会議であるトピックについて話している最中に相手が、”Are we going to talk about the report?”と言ってきたとします。「例の報告書について私たちはあとで話しますか?」という意味だな、と思って”Yes”と言った後にこれまでの話を継続したら、相手はムッとしてしまうでしょう。なぜかと言うと、ここでの “Are we going to talk about the report?”は、「(他の話をしているけど)まだあの報告書の話をしないんですか?さっさとしましょうよ。」という、impatientになってきた相手からのトピック変換の催促だからです。

同様に、英語で表現するときも、日本語を一語一句訳したのでは伝わらないことが多いです。

例えば「様子をみてみましょう」と言おうとして、”Let’s look at the situation.”と言ってしまうと、「(今)状況を(注意して)見てみましょう」という意味になり、もとの意味が伝わりません。”Hum? What situation?” と、相手は何を見ればいいのかわからず困惑してしまうかもしれません。(プレゼンをしていて、”Let’s look at the situation in Asia now.”というようなtransitionとしては使えます。)

このように英語脳を磨かないままでいると、コミュニケーションの効率が悪くなり、英語の理解力・表現力も限られてしまうのです。

おススメの対策:決まり文句のレパートリーを増やす

英語をそのまま英語で理解し、日本語を介さず英語でアウトプットできるようになるためには、「特定の状況下でネイティブスピーカーはどう言うか」を知ることが大事です。

例えば上で出てきた「様子をみてみましょう」は “Let’s see how it goes.” と言います。これは日本語脳で考えていたら絶対に出てこない表現ですよね。

仕事でのコミュニケーション力を伸ばしたいと思ったら、ビジネスシーンでネイティブスピーカーが使う、相手に提案するときの表現(e.g. “How about Noun/Verb-ing?”)や丁寧にお願いする時の表現(Would you mind Verb-ing?)などを学んでみてはいかがでしょうか。

それに加えて、”do a webinar” や “send someone a reminder”といったコロケーションもどんどん覚えていくのです。

そうすることで、「ウェビナーをやってみたらどうでしょう」と提案したいときは “How about doing a webinar?”

「もしよろしければ、リマインダーを送っていただけませんか?」とお願いしたい時は “Would you mind sending me a reminder?”

という表現が、一つひとつ日本語を英訳することなく出てくるようになります。

もちろん、使える表現のレパートリーが増えれば増えるほど、聞いてそのまま理解できる英語の表現も増えてくるので、アウトプットとインプット両方に効果アリと言えます。

現在、お仕事で英語が必要な方のために、自然かつプロフェッショナルな決まり文句をマスターするためのYouTube「一言ままフレーズレッスン」を準備中です!もしご興味がありましたらチェックしてみてください。リクエストも受け付けております!

まとめ

この記事では、英語の質問にうまく答えられない3つの致命的な原因についてお話ししました。

その3つの原因とは:

  1. 基礎英語スキルが足りない
  2. 受け答えスキルが磨かれていない
  3. 英語脳が鍛えられていない

でした。

さらにこれらの問題を克服するためのおススメの対策もご紹介しました。

  • お仕事のために英語の素材を読み書きする際、ちょっと視点を変えて総合的な英語力アップの機会にする。
  • 英語の質問への受け答え力を集中して鍛える
  • 自分の分野でよく使われる表現のレパートリーを増やす

ぜひできるところから始めてみてください

英語の質問にうまくこたえられると、仕事で成果を残せるようになります。相手に価値を提供することができるようになります。そしてそこからあなたへの信頼が生まれ、さらなる将来への可能性へとつながっていきます。

たかが受け答え。されど受け答え。

ぜひ受け答えのスキルを磨き、英語で堂々とあなたの知識や見識を広げていってください!

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