言語によって世界の見え方が変わる。英語学習者はこれをフル活用しよう!

コミュニケーション

こんにちは!英語コミュニケーションコーチのKeikoです。

在住14年目のボストンで、光るアイディアと熱い想いを持つ日本人が世界に活動を広げて行くサポートをしています。

今回の記事では “Language shapes thought” というテーマを探求します。


ボストンに住んでいる私は時々、日本の母とLINEで会話をします。そのとき私の口から頻繁に出るのが、

「それは誰が言ったの?」

「○○さんがそれをしたということ?」

といった主語の確認。

誰が何をしたのかを明確にする英語の世界で長く生活している私にとっては、母によって語られる、主語の存在しない日本語の世界を理解するのは至難の業です。

それでも日本に帰国して数週間もすれば、私も主語なし会話ができるようになる(笑)。

これは単純に英語と日本語では話し方が違う、という話ではありません。

実はここにはもっと根本的な、「言語によって世界の認識の仕方が変わる」という考えが反映されています。

サピア・ウォーフの仮説は有名なので、あなたも聞いたことがあるかもしれません。言語相対性理論とも呼ばれるこの仮説は、「私たちは言語を通して世界を認知する。そのため使用する言語によって、個人の『現実』つまり世界の見方が変わってくる」というものです。

Language shapes the way we think, and determines what we can think about.

Benjamin Lee Whorf

これは言語学者の間で多くの論争を引き起こしてきました。

私の意見は

・・・

・・・

・・・

It totally does! Language shapes our thoughts and reality. 

日本人として英語を学んだ人なら、英語と日本語で話すときの感覚の違い、捉え方の違いなどを実感したことがあるはずです。

You were right. 最近になって、言語は確かに人々の世界観を変えるということが研究によって明らかになってきました。この記事ではそれらの研究をご紹介しながら、言語がどのように私たちの世界を形作っているのか、そしてそれが英語を学習する私たちにとって何を意味するのかを深堀りします。Enjoy!

1.言語によって世界の切り取り方が変わる

a. 色のカテゴリー

まずは質問です。これ、何色ですか?

水色ですね。「なんでこんな簡単な質問をするの?」と思われたかもしれませんが、実はこういった色のカテゴリーの仕方が、世界共通ではないんです。

下の図を見ると、英語では “blue” ひとつの言葉で表現される色が、ロシア語では別々の二語で表現されるのがわかります(日本語と同じですね)。

https://www.ted.com/talks/lera_boroditsky_how_language_shapes_the_way_we_think?language=en

認知科学者のDr. Lara Boroditsky (2018) は、ロシア語話者は長年、このように別々の言葉でこれらの色を表現してきた結果、脳もこれら二つの色を違うカテゴリーに属するものとして認識していることを発見しました(水色からだんだん濃い色に変えて行くと、脳が「びっくり!」の信号を示すそうです)。

これを聞いて思い出したのが、幼稚園の頃に持っていた60色入りのクーピーペンシル。

「レモン色」・「やまぶき色」・「朱色」・「すみれ色」・「オリーブ色」など、アメリカ人の夫には独立したカテゴリーとして認識されないであろう色の数々がそろっていました(笑)。日本のクーピーが、今の私の色の語彙と世界の区切り方のベースを作っていたとは。

あなたのお絵かきセットには何色が入っていたでしょうか?

b. 翻訳できない言葉

英語にうまく訳せない日本語ってありますよね。「わびしい」とか。「微妙」とか。

それはこれらの言葉に、意味を説明しただけでは伝わらない、日本人の独特な世界観が含まれているからでしょう。

最近これを象徴する素晴らしい本に出会いました。 

こちら:

Ella Frances Sanders による Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World (2014) です。

世界中から集めた50の「翻訳できない」 untranslatableな言葉が著者の美しいイラストとともに紹介されています。

私が気に入った言葉のいくつかをご紹介しますね:

GEZELLIG (Dutch, adjective)

Describes much more than just coziness–a positive warm emotion or feeling rather than just something physical–and connotes time spent with loved ones, togetherness.

PORONKUSEMA (Finnish, noun)

The distance a reindeer can comfortably travel before taking a break.

(The author says that it is widely acknowledged by the Finnish that a poronkusema is about 7.5 km!)

IKTSUARPOK (Inuit, noun)

The act of repeatedly going outside to keep checking if someone (anyone) is coming.

COTISUELTO (Caribbean Spanish, noun)

A man who insists on wearing his shirt tail untucked.

そして・・・

KOMOREBI (Japanese, noun)

The sunlight that filters through the leaves of the trees.

「木漏れ日」の例からも分かるように、本当に言葉は辞書の意味だけじゃない!日本人が「木漏れ日」と聞いたら、あのキラキラしたまぶしさに思わず目を細めてしまう感じ、そして何とも言えない心地よさを感じることと思います。

言葉にはそういったニュアンスや「感じ」、その言語話者の世界観がぎゅっと凝縮されていると言えます。だから、オランダ語を話さない私は本当の意味で gezellig を理解できてはいないでしょう。でも大切な家族や友人とともに時間を過ごす中で、心がほかほかした瞬間を “gezellig” と呼び続けたら、その「感じ」とともに “gezellig” という言葉が自分のものになっていく、と私は思います(これについては後半で詳しく述べます)。


著者のSanders はイントロダクションでこう書いています:

There may be some small essential gaps in your mother tongues, but never fear: you can look to other languages to define what you’re feeling.

Ella Frances Sanders

世界を今までとは違うやり方で切り取って言語化できるようになったら素敵ですね。

c. 意味の範囲が違う訳語

まずはこれらの例文を見てください:

お湯を沸かしたけれど、沸かなかった。

I boiled the water, but it didn’t boil.

手紙を燃やしたけれど、燃えなかった。

I burned the letter, but it didn’t burn.

材料を混ぜたけど、混ざらなかった。

I mixed the ingredients, but they didn’t mix.

(Adapted from Lee, 2014)

ん?何かおかしくありませんか?

実は日本語に問題はないのですが、そのまま英語に直したときに英語として意味が成立しません。

なぜでしょうか。

日本語の「沸かす」・「燃やす」・「混ぜる」という言葉が意味するのはその行為のみです。だから例えば、ボッと火をつけた瞬間が「燃やす」。

それに対し英語では、行為が完了したところまでが意味に含まれます。つまりもしあなたが何かを “burn” したのなら、それはもう “burn” した = 燃えている、ということ。”Mix” したならばそれはすでに ”mix” された = 混ざっている、という認識になるわけです。

つまり「燃やす = burn」という翻訳は厳密には正確ではなく、れぞれの言葉は微妙に違った世界の切り取り方をしているのです。

こういった気をつけなければいけない訳語の例、他にも色々ありますね(名詞の方が目につきやすいかもしれません。英語の ”fingers” は日本語の「指」とは違い足の指は含まないとか、”marathon” はただの長距離レースではなく42.195kmのレースだけを指し示すとか)。訳語の意味の範囲が違えば世界の認識の仕方も違うのは自然なことです。


ここまで、1)色のカテゴリーの仕方、2)他の言語には翻訳できない言葉、そして3)意味の範囲が実は違う訳語と、言語が話者の世界を形成する証拠を見てきました。次のセクションでは文法がどのように世界の見方に影響を与えるかを探っていきましょう。

2. 文法が思考に影響を及ぼす

a. 男性名詞 vs. 女性名詞

スペイン語・フランス語・ロシア語・ギリシャ語・ドイツ語・アラビア語・・・その他多くの言語に文法的性(grammatical gender)が存在します。

あなたもこれらの言語を学ぶ際に、日本語にも英語にも存在しない男性名詞・女性名詞に苦労したことがあるかもしれません。

私は今ポルトガル語に苦労しています。Filho (息子) / filha (娘)の区別は理解できるけど、なぜ cinema(映画館)、anel(指輪)、lugar (場所)が男性名詞で、mão(手)、cidade(市)、viagem(旅行)は女性名詞なの??

残念ながらこれは覚えるしかないのです(涙)。なぜなら男性名詞・女性名詞は arbitrary、つまりどの単語がどちらの性かはユニバーサルではないからです。

例えばポルトガル語では女性名詞の cor(色)はスペイン語では男性名詞の color、ポルトガル語で男性名詞の leite(牛乳)はスペイン語では女性名詞の leche になります。

ここで私たちが知りたいのは、この文法的性が世界の見方に影響を与えるかということですよね。

1のセクションでご紹介した Dr. Lera Boroditsky の研究がその答えを教えてくれます。Dr. Boroditsky は、橋を意味するドイツ語の brücke は女性名詞であり、スペイン語の puente は男性名詞であることに目をつけ、この違いが人々の橋の認識に影響を与えるかを調べました。

Photo by Nathan Riley on Unsplash

その結果、ドイツ語話者は橋を「美しい」・「エレガント」といった女性的な言葉で描写し、スペイン語話者は「強い」・「長い」と男性的な言葉を用いて表現したのです。

つまり!男性名詞と女性名詞の区別の仕方が、その言語話者の世界の見方に影響を与えるということ。使う言語によって見える世界が変わるということです。

Dr. Boroditsky は TED Talk で、この他にも興味深い研究成果をシェアされています。ぜひチェックしてみてください:

b. 時制

言語によって違いがあるのはジェンダーだけではありません。時制は世界の見方にどのような影響を及ぼすでしょうか。

Dr. Panos Athanasopoulos (2015) は、特定の言語を使うことで出来事の認知の仕方が変わるかどうかを英語話者とドイツ語話者を対比し調査しました。

あなたなら、こちらの写真をどう描写しますか?

https://theconversation.com/how-the-language-you-speak-changes-your-view-of-the-world-40721

「女性が歩いている」?「女性が自分の車に向かっている」?

Dr. Athanasopoulos の研究結果によると、英語話者の間では行動にフォーカスした返答(e.g. “A woman is walking”)が多かったのに対し、ドイツ語話者には、行動の最終目的までを視野に入れた返答(e.g. “A woman walks towards her car ”)が多く見られたそうです。

これは、英語には現在進行形という文法のルールが存在し、話者は現在起きている行動を報告する際に “-ing” の形を使わなければいけないことが理由であると Dr. Athanasopoulos は言います。この文法規制のために英語話者の脳は、その時起きている行動にフォーカスするようになっている;一方ドイツ語には現在進行形がないためドイツ語話者は行動の結果も含めた全体的な見方をする、ということです。

これは、文法が世界の認識・思考に影響を与えることを示す重要なデータです。

c. 虫の視点 vs. 神の視点

文法によって世界の見え方が変わる説明の最後に、言語によって違う世界を、目に見える形でお届けします。

川端康成の「雪国」の有名な冒頭文:

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」

これを読んで、あなたはどんな情景を頭に思い浮かべますか?

では英訳を読んだときはどうでしょう:

“The train came out of the long tunnel into the snow country.” 

これは川端康成がノーベル文学賞を受賞するきっかけを作ったと言われる、Edward Seidensticker による訳文です。

「雪国」の冒頭文を上の2つのバージョンで読んだ人たちに、思い描いた情景を絵にしてもらった結果がこちら:

(画:中島秀之, 2021)

左が日本語を読んで思い浮かべる情景。右が英語の情景です。視点がまったく違いますね!

この実験を行った言語学者の池上嘉彦によると、日本語を読んだ場合、汽車に乗っている乗客の視点から描いた絵になり、英語は汽車がトンネルから出てくるのを上空から眺めている絵になるということです。

言語学者の金谷武洋 (2004) は著書の「英語にも主語はなかった」の中で、日本語は「虫の視点」、英語は「神の視点」から情景を記述すると述べました。

これを雪国の描写に照らし合わせてみると、汽車に乗っている虫の視点からは、わざわざ文中で「汽車」を明示する必要はないが、上空から俯瞰している神の視点からは、何がトンネルから抜けてくるのかの主語がないと記述として成り立たない、というわけです。

これはこの記事の冒頭でお話ししたように、英語の世界観をもつ話者(私)が主語のない日本語の会話に参加した時に理解困難に陥る理由を説明してくれます。

中島秀之は「日本語の文章は、それが語っている状況を思い浮かべることで理解できます」と述べています。

「何が(誰が)どうした」を明確にしなければ描写として不完全な英語に対し、主語を明確にしなくても相手が情景を察し思い描いてくれる日本語。これらの言語を使ったときに見える世界は、文字通りまったく違ったものになるのです。

3.その言語・文化独特の表現

1章のbでご紹介した「翻訳できない言葉」とも似ていますが、コミュニケーションの中で相手に伝えるために発する表現として、ここでは別々のカテゴリーを設けました。

日本語独特の表現は:

  • いただきます
  • お疲れさまでした
  • しょうがない・仕方ない
  • お世話になっております
  • よろしくお願いします

などが挙げられます。

普段の会話はほとんど英語で行っている私と夫も、これらは日本語で言います。

例えば:

子供に買ったばかりの靴(アメリカ製)があっという間に擦り切れて不満を言う私に夫が

“Shoganai.”

遅くまで仕事のディナーに出ている夫に私がテキストメッセージで

”Otsukaresama!”

これらの表現をそのまま使うことで伝えたいニュアンスがあるんですよね。これを英語で ”It can’t be helped” とか、”You must be tired after a long day” とか言うと、なんか違う・・・と思ってしまうわけです。

逆に、英語で言いたい表現もあります。例えば:

  • 悪いニュースを聞いたときの I’m sorry.
  • That makes sense.
  • Let’s catch up. 
  • You deserve it.
  • Fair enough.

などなど。

これらは日本人と話していても英語で言ってしまう表現です(汗)。「キャッチアップしよう」ぐらいなら許容範囲でしょうが、「それは makes sense だね」とか「You deserve it(そのまま!)」と言っている時には、自分は納得していたとしても、相手もバイリンガルでないと逆にニュアンスが伝わりません。日本語の良い表現方法を考えなくては!

翻訳しづらいこれらの表現ですが、翻訳しづらいのは、これらがそれぞれ日本語・英語独特の感性・世界観を反映しているからであると言えます。

イスラエルの言語学者、Guy Deutscher(2010)の言葉がここまでのポイントを集約しています:

When your language routinely obliges you to specify certain types of information, it forces you to be attentive to certain details in the world and to certain aspects of experience that speakers of other languages may not be required to think about all the time. And since such habits of speech are cultivated from the earliest age, it is only natural that they can settle into habits of mind that go beyond language itself, affecting your experiences, perceptions, associations, feelings, memories and orientation in the world.

Guy Deutscher

言語を構成する単語・文法・表現はある特定の詳細にフォーカスを当てている。だから人生を通してそれらを繰り返し使ってきた話者の注意がそこに向かうのは、ある意味当然のことなのです。

4.言語によって世界の見え方が変わる。So what?

ここまで、使う言語によって世界の認識の仕方が変わることを見てきました。これだけでも十分興味深いコンセプトではありますが、重要なのは実際の生活の中でこれをどう役立てられるかです。

一言で言うと、この事実は英語学習者(and 他の外国語学習者)の学習意義とポテンシャルをさらに高めてくれます! 記事を締めくくるにあたって、その理由を二つご説明します。

a.外国語を学ぶことでその言語話者の世界観を理解することができる

今あなたはどんな風に英語を学んでいますか?単語を覚えようとしているかもしれないし、文法書を読んでいるかもしれないし、あるいは TED Talks や YouTube を見たり、時々英会話のレッスンを受けたりしているかもしれません。

それらの方法で目指しているのはおそらく:

  • 単語力をつけたい
  • ビジネス相手の話が理解できるようにリスニング力を高めたい
  • 正しい英語が話せるよう文法力をつけたい

といったように、英語の技能を高めることが中心になっていると思います。

でもこの記事で見てきたように、言語にはその言語話者の世界の認識の仕方が深く根付いています。

それを利用し、一歩進んだ言語習得を目指してみてはいかがでしょうか。

例えば:

  • 新しい英単語を覚える際に、日本語の訳語として覚えるだけでなく、その言葉が含有する世界の領域とニュアンスも一緒に理解するようにする
  • 英語で話すときは、日本語の文を英語に一語一語置き換えるのではなく、英語の文法(= 英語の思考方法 e.g. 神の視点)を使って世界を切り取ってみる
  • 新しい英語表現を聞いたときは、その文脈に注意を向けることで、表現の世界観も含めて理解し、適切な時にそのニュアンスを込めて相手に伝えることを目指す

など。

このように言語にじっくりと浸り経験するような学習をすることで、その言語話者の世界観・思考を深く理解し、さらにはその認知・思考方法を使ったアウトプットができるようになります

Photo by Jonathan Forage on Unsplash

b.バイリンガル(or マルチリンガル)になることで、複数の認識方法・思考方法にアクセスできる

aでお話ししたように英語の世界観をある程度習得したら、さらなるベネフィットが待っています。それは日本語と英語の世界観の二つの間を行ったり来たりできるようになるということです。

Dr. Athanasopoulos に最後にもう一度登場していただきましょう。文法が世界の見方に影響を与えることの証拠として、英語話者とドイツ語話者の間に出来事の描写の違いがあることを上でご紹介しました。Dr. Athanasopoulos はさらに、英語とドイツ語のバイリンガルを対象に興味深い調査を行っています。これによると英語とドイツ語のバイリンガルは、ドイツで調査が行われた場合はドイツ語話者的なゴール重視の見方、イギリスで行われた場合は英語話者的な行動重視の見方を示した、というのです。つまり、バイリンガルはどちらの言語の傾向も併せ持っており、コンテクストによって片方をブロックし、もう片方の世界・思考にアクセスすることができる、ということです。

「英語だとはっきりした物言いができる」と感じたことがあるかもしれません。これは英語の単語・文法・表現、またそれらが形成する世界の切り取り方・認知の仕方・思考方法が私たちのコミュニケーションに影響を与えているからと言えます。

日本語による世界の見方と英語による世界の見方。英語を身に付けることでこの二つが手に入るなんて素晴らしいと思いませんか?

普段英語話者とお仕事をする機会が多い方にとっては、これにはまず実践的な価値があります。相手に合わせて英語の世界観・思考方法にスイッチを入れることで、相手とより深くわかり合えたり、相手が納得しやすいような説明の仕方ができるようになったりと、相手目線で効果的なコミュニケーションがとれるようになるからです。

でもそれだけではありません。これが意味するのは、複数の言語を話す人は普段から複数の認知方法・思考方法に自由自在にアクセスできる、ということでもあります。例えば、全体像を把握したい時には日本語、個々のパーツの原因と結果を分析したいような時には英語と、その時必要な世界の見方・思考にアクセスできる言語を使う。そうすることで、一つの言語では見えにくかった現実が見えてきたり、思いもつかなかったようなクリエイティブな発想ができるようになったりするかもしれません。

「言語が世界の見方を変える。」英語学習者にとってこの命題には、単語と文法を使いこなせるようになる以上の英語学習の意義と可能性が詰まっているのです。

まとめ

この記事では「言語が世界の見方を変える」ことを、科学的なデータと私自身の意見をご紹介しながら深掘りしました。

世界を認知し考え、アウトプットする際に使う言語が違えば、個々人の「現実」は当然違ったものになります。

これを頭に入れながら言語学習を行うことで、自分の言語で構築してきた世界観をそのまま他の言語にあてはめながら習得を目指すという「自言語中心型」の学習から、相手の内側から世界を再認識するような「相手言語中心型」の学習へと進化させることができます。

また言語を学ぶことによりアクセスできる世界や思考方法が増えるというのも、英語学習者にとってempowering なニュースです。常に複数の選択肢を備えているということは、訓練次第でコミュニケーションの相手や文脈、目的に応じ、より適切な世界観・思考方法にスイッチを入れることが可能になるということだからです。

さらに「言語が世界の見え方を変える」ことが世界中の人々の前提になれば、多様性がもっと受け入れられるようになり、もっと多くの人がお互いをよりよく理解するための努力をするようにもなるかもしれません。

これだけ多くのポテンシャルを秘めているコンセプトをフル活用しない手はありません!

あなたの目の前に広がっている世界、まずはどの言語で切り込みを入れますか?

To have another language is to possess a second soul. 

Charlemagne

References:

Athanasopoulos, P., Bylund, E., Montero-Melis, G., Damjanovic, L., Schartner, A., Kibbe, A., Riches, N., & Thierry, G. (2015). Two languages, two minds: Flexible cognitive processing driven by language of operation. Psychological Science, 26(4), 518–526.

Athanasopoulos, P. (2015, April 27). How the language you speak changes your view of the world. The conversation. 

How the language you speak changes your view of the world
Bilinguals think differently depending on the language they’re operating in.

Frankel, M. & Warren, M. (2022). The weird way language affects our sense of time and space. BBC Future. https://www.bbc.com/future/article/20221103-how-language-warps-the-way-you-perceive-time-and-space

Hideyuki, N. (2021, June 28). 「日本語で考える」が世界で戦う武器になる。言語の違いがAIに与える影響は?中島秀之のAIと人間の知能論第4回, ツギノジダイ:引き継ぐ経営、勝ち抜くヒント. https://smbiz.asahi.com/article/14616713

Kanay, T. (2004). 英語にも主語はなかった:日本語文法から言語千年史へ. Kodansha. 

Lee, H. (2014). “Englishness” and “Japaneseness.” Journal of foreign language studies, 10,99-105. https://www.kansai-u.ac.jp/fl/publication/pdf_department/10/06lee.pdf

Macdonald, F. (2014, December 16). Lost in translation: Words with incredible meanings. BBC Culture. https://www.bbc.com/culture/article/20141216-ten-untranslatable-words

Sanders, E. F. (2014). Lost in translation: An illustrated compendium of untranslatable words from around the world. Ten Speed Press. 

Scholz, Barbara C., Francis Jeffry Pelletier, Geoffrey K. Pullum, and Ryan Nefdt, “Philosophy of Linguistics”, The Stanford Encyclopedia of Philosophy (Spring 2022 Edition), Edward N. Zalta (ed.). https://plato.stanford.edu/entries/linguistics/whorfianism.html

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