英語で何か質問されたとき、あなたは「良い受け答え」ができていますか?
英語の基礎力が十分でなかったときは、そんなことを考える余裕もなくて、とにかく何か言い返すことだけで頭がいっぱいだったかもしれません。
でも基礎力がある程度ついたら、どんなコミュニケーションをとりたいか、つまりコミュニケーションのゴールを明確にすることは大切です。
今もし、
- 「『良い受け答え』ができているかわからない」
- 「そもそも何が『良い受け答え』なのかわからない」
というあなたでも、
この記事を最後まで読むと、
- 受け答えのゴールを明確にすることの重要性
- これからどんな受け答えを目指せばいいのか
- 「良い受け答え」をするための具体的な方法
がわかるようになります。
Let’s get started!
受け答えで目指すべき目的(ゴール)を明確にする意義
なぜコミュニケーションのゴールを明確にすることが必要なのでしょうか?
この記事のトピックに絞って言うと、英語の質問に対して目指すべき受け答えを考える意義とは何でしょうか?
それは、自分の中で意識するゴールが直接コミュニケーションの質と結果に影響するからです。
例えば、
「相手に楽しんでもらえるような受け答え」を目指した場合と
「相手に新しいことを知ってもらうための受け答え」を目指した場合では、
受け答えに含める内容がまったく変わります。
前者では自分に起きた話をおもしろおかしく話し、後者では相手の知らない事実や数値に触れるようにするでしょう。
また、
「文法を間違えないことを目的とした受け答え」と
「相手に価値を提供することを目的とした受け答え」では
結果としてどちらがより相手に満足してもらえるか、考えなくてもわかりますね。
もうおわかりのように、受け答えのゴールを明確にし、それを意識したうえで受け答えをすることは効果的なコミュニケーションをとる上で絶対不可欠なのです。
「良い受け答え」とは何か
では、英語で質問を聞かれたときに目指すべき「良い受け答え」とは何でしょうか。
最初に結論を言います。
英語の質問に対する「良い受け答え」の有効な定義は「最後まで相手に興味を持って聞いてもらえる答え」です。
この定義のヒントは1冊の本に書かれていました。
この本は、英語の質問への答え方について書かれた本ではありません。『新しい文章力の教室』という、私が日本語のライティング力を磨くために読んでいる本です。この本の中で著者の唐木元さんは、文章の書き方や校正の仕方などの詳細な説明に入る前にまず、「良い文章とは完読される文章である」と定義しています。
文章がわかりづらかったり、間違いだらけだったり、リズムが悪かったりすると、読者は途中で離脱してしまう。逆に、適切な長さで、旬の話題で、テンポがよく、読み手の需要に即しており有用な文章には、読者は引き込まれたまま、おしまいまで読んでしまうというのです。
ここでピンときました。これらは話し言葉にも当てはまる!
聞き手が途中で離脱しない答え。
「それで?それで?」と最後まで入り込んで耳を傾けてしまうような答え。
いわば「完聞」される受け答えを目指すのは、英語学習者にとって有用な指針になるのではないか、と思うのです。
人の話を「最後まで聞く」のは簡単なようで簡単なことではありません。
最近、誰かと話したときのことを思い出してみてください。
相手の話を聞きながら、あなた自身が頭のどこかで、
- 「どうやって答えようかな」
- 「似たようなことがあったから、このことを次に話そう」
- 「それも一理あるけど、私の考えも聞いてもらおう」
なんてことを考えていませんでしたか?
特に、相手の発言の後に気の利いた受け答えが求められていたりしたら、相手の言葉をしっかり聞くことよりも、頭の中は「次に何を言おう」でいっぱいになってしまいますよね。
『7つの習慣』の著者であるスティーブン・R・コヴィーは、「たいていの人は、理解しようとして聞いていない。返答をするために聞いている。」と言っています。
返答するための準備以外にも、「あっ、携帯持ってくるの忘れた!」とか、話の内容に全く関係のないことに気が行っていたり、日本人だったら、「賛成じゃないけどうなずいておこう」と周りを気遣うことに意識を使っていたりするかもしれません。
もしそうだとしたら、あなたが話している間、聞き手もきっと同じことをしているはずです。あなたの話を半分で聞きながら、次に言うことを考えていたり、状況に合わせて適切に振舞おうと一生懸命になっていたり、自分の話をしたくてウズウズしていたり、もしくはあなたの言葉よりもずっと大事な何かのことで頭がいっぱいになっているかもしれません。
これまでに、あなたが全部言い終わる前に途中で話を遮られことはありませんか?
あなたの発言がまるでなかったかのように会話が続いて行ったりしたことは?
それらは相手の「聞く力」が足りない証拠でもありますが、それと同時にあなたの受け答えがその聞き手にとって「完聞」するに値するものではなかった、というサインでもあります。
では、どうやったらあなたの言いたいことを最後まで聞いてもらえるのか。
目指すべき「良い受け答え」がわかったら、次のステップは実際に「良い受け答え」をするためのポイントを押さえることです。
どうすれば「完聞」される受け答えができるか
先ほど「良い文章」の話で、「完読される良い文章」とは、
- 適切な長さで
- 旬の話題で
- テンポがよく
- 読み手の需要に即しており有用
という条件を満たした文章である、ということでした。
ただ、話し言葉と書き言葉には決定的な違いがあります。
話し言葉は書き言葉と違って、
- 言葉を発した瞬間から言葉が消えてなくなるので見返すことができない
- 相手は最初から順に聞くしかない
- 相手が積極的に知りたい部分だけを選んで「飛ばし読み」することができない
- 一語一語すべて聞くしかなく、注意が散漫になりがち
などの点が挙げられます。
そのため、話し言葉である「受け答え」においては、話し手であるあなたが、相手の注意を惹き最後まで興味をもって聞いてもらうために、さらなる工夫をしなければいけません。
相手に「完聞」してもらうために心がけるポイントは:
- 結論を最初にもってくる
- ダラダラ話さない
- 誰もが言うことではなく、オリジナルの視点を提供する
- 聞き手が興味のある例・聞き手に価値のある情報を持ち出す
- 難解な文や専門用語は避ける
- わかりやすい論理で説明する
よく見てみると、「完聞」してもらえる受け答えは、ユニバーサルに効果的と言われる受け答えの特徴と一致しているようです。実際、英語質問への受け答えに特化したコースで私自身が同様の内容を生徒さんに指導しています。
相手に「完聞」してもらうことを目指し、そのためのポイントを押さえることで、相手に理解しやすく、おもしろく、価値を提供する受け答えができるようになるのです。
まとめ
この記事では、
- 受け答えのゴールを明確にすることの重要性
- 受け答えで目指すべきもの
- 「完聞」してもらうための具体的な方法
をお伝えしました。
「どんな受け答えをしたいのか」というゴールを意識することで、受け答えの質をアップさせ効果的なコミュニケーションをとることができるようになります。
そのゴールの中でも英語学習者にとって役立つ指針となるのが、相手に「完聞」してもらう受け答え、つまり最後まで興味を持って聞いてもらう受け答えを目指すことです。
シンプルな定義ですが、そのポイントを押さえることで相手に伝わる効果的な受け答えをすることができるようになります。
相手に納得してもらい、相手の心を動かし、そして相手と信頼関係を築いていくためには、あなたのメッセージを部分的にではなく、最後までしっかり受け取ってもらわないと始まらないですよね。
途中で聞き手の興味を失わせてしまったら、そこでゲームオーバー。
相手が途中で他のことを考えるスキがないくらい、筋が通っていて、相手を惹きつけて放さない、聞き手が最後まで聞くに値すると思えるような答え。
そんな「完聞」される受け答えを今日から目指しましょう!
References:
Covey, S. R. (2020). The 7 habits of highly effective people: Powerful lessons in personal change. London: Simon & Schuster UK.
唐木元(2015-2020)『新しい文章力の教室:苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング』インプレス.
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